
積替え保管を経由する産廃マニフェスト|運搬区間と運搬受託者の書き方
「いったんうちのヤードに入れて、まとめてから処分場に持っていきます」
そう決まった日から、伝票の書き方が急に分からなくなる。運搬受託者の欄はひとつしかないのに、走る車は2台。積替え保管の場所は、どこに書けばいいのか。運搬終了の報告は、1回だけでいいのか、2回来るのか。
伝票を前にペンが止まったまま、しばらく動けない。そんな時間を過ごした方は、少なくないと思います。
この迷いは、知識が足りないから起きるのではありません。荷の流れが変わったのに、いつもの直行用の伝票のまま考えようとしているからです。流れが変わったら、伝票のほうも変わります。そこさえ分かれば、あとは順番に埋まっていきます。
今日は、「運搬区間」という考え方から整理していきます。
結論:積替え保管を経由すると、運搬は2つの区間に分かれます。
- 1区間目:排出事業場 → 積替え保管場所
- 2区間目:積替え保管場所 → 処分場
このとき、押さえるのは次の4つです。
1. 伝票は「積替用」を使う——直行用とは票の枚数も欄の作りも違います
2. 運搬受託者は区間ごとに書く——同じ会社が両区間を走る場合でも、区間の数だけ欄を埋めます
3. 積替え保管場所は専用の欄に書く——「運搬先の事業場」欄に書くのは、最終的に運び込む処分場です
4. 運搬終了報告は区間ごとに戻ってくる——1枚返ってきて安心せず、2区間分そろったかを見ます
そして忘れやすいのが、委託契約書の側。積替え保管を経由するなら、契約書にも積替え保管場所の所在地・保管できる種類・保管上限を書いておく必要があります。伝票だけ直しても、契約が直行のままだと片手落ちになります。
1. 積替え保管を経由すると、何が変わるのか
まず、荷の流れを絵にしてみます。

直行のときは、排出事業場から処分場まで一本です。運ぶ会社は1社、運搬終了の報告も1回。伝票の欄も、それに合わせて作られています。
ところが、間に積替え保管が入ると、こうなります。
- 小型の車で現場を回り、いったんヤードに下ろす(1区間目)
- ヤードで一定量まとめ、大型車で処分場へ運ぶ(2区間目)
荷は同じでも、運搬という行為が2回あります。だから、マニフェストにも2回分を書く欄が要ります。直行用の伝票に運搬受託者の欄がひとつしかないのは、直行を前提にしているからです。欄が足りないのではなく、使う伝票が違う、ということです。
そもそも、積替え保管ができる許可になっているか
書き方の前に、ひとつだけ確認したいことがあります。積替え保管をするには、その場所について「積替え保管を含む」収集運搬業許可が要ります。
- 自社の許可証に、積替え保管場所としてそのヤードが記載されているか
- 記載されている品目の中に、今回の廃棄物が入っているか
- 積み込む側・下ろす側、それぞれの自治体の許可がそろっているか
ここが抜けたまま伝票だけ整えても、根っこが合いません。許可の条件や保管上限は 積替え保管ありの収集運搬許可で押さえる条件と保管上限 に、許可証の読み方は 産廃許可証の見方|事業の範囲と「限定」条件、確認したい3か所 にまとめています。
2. 使う伝票を「積替用」に替える
紙のマニフェストには、直行用と積替用があります。売られている伝票そのものが別物です。
積替用は、直行用より票の枚数が1枚多くなっています。増えているのは、2区間目の運搬終了報告に使う票です。多くの様式では B4票と呼ばれていますが、票の呼び名や並びは様式によって違うことがあります。
ここで確実なやり方はひとつです。
各票の端に印字された名称(「〇〇控」「排出事業者送付用」など)を、そのまま読む。
複写式の伝票は、どの票を誰が持ち、どこへ返すかが必ず票の上に書いてあります。記号を暗記するより、印字を読むほうが早くて確実です。伝票を切り離す前に、上から順に印字を目で追ってみてください。
伝票は、加入している産業資源循環協会などから購入します。直行用の在庫しかない事務所も多いので、積替えの案件が決まった時点で積替用を手配しておくと、当日あわてずに済みます。紙の在庫管理と発注のタイミングは、意外と落とし穴です。
3. どの欄に、何を書くか
積替用の伝票で、迷いやすい欄を順番に見ていきます。
運搬受託者の欄——区間の数だけ埋める
積替用には、運搬受託者を書く欄が区間ごとにあります。
- 1区間目の運搬受託者:排出事業場からヤードまで運ぶ会社
- 2区間目の運搬受託者:ヤードから処分場まで運ぶ会社
ここでよくあるのが、「両方うちの会社なんですが、どうすれば」という質問です。答えはシンプルで、同じ会社名を両方に書きます。1社が両区間を担うのは珍しくありません。欄が2つあるのは会社を2社書くためではなく、区間が2つあることを示すためです。
車両番号や運搬担当者を書く欄がある様式では、そこは区間ごとに実際の車の情報を書きます。ヤードで積み替えるということは、車が変わるということですから、ここは自然と別々になります。
積替え保管の欄——ヤードの情報はここ
積替え保管の場所を書く欄が、別に用意されています。書くのは、
- 積替え保管場所の所在地
- 連絡先(電話番号)
です。ここを空欄にしたまま「運搬先の事業場」欄にヤードを書いてしまう間違いが、いちばん多いところです。
運搬先の事業場の欄——書くのは処分場
「運搬先の事業場」に書くのは、最終的に運び込む処分(中間処理)の事業場です。ヤードではありません。
積替え保管は、荷を途中で置く場所であって、処理をお願いする先ではないからです。ここが入れ替わると、伝票の上では「ヤードで処理したこと」になってしまい、あとの報告とも食い違います。
迷ったら、こう考えると整理しやすいです。
| 欄 | 書くもの | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 積替え又は保管 | ヤードの所在地・連絡先 | 途中で置く場所 |
| 運搬先の事業場 | 処分(中間処理)の事業場 | 最後に渡す相手 |
| 処分受託者 | 処分を委託した業者 | 処理をする会社 |
数量と荷姿——積み替えても、数量は交付時のまま
積み替えのときに、荷姿は変わることがあります(バラをコンテナへ、など)。でも、交付したマニフェストに書いた数量は、交付時点の数量のままです。ヤードで測り直して数字が少し動いたからといって、勝手に書き換えるものではありません。
実際の数量が交付時と大きく違っていた場合は、書き換えではなく訂正の手続きになります。手順は 数量・荷姿・運搬先の修正が必要なときのマニフェスト訂正手順 にまとめました。単位の考え方は マニフェストの数量、t・m3・kgの使い分けと換算で迷わない考え方 をどうぞ。
4. 運搬終了報告は、区間ごとに戻ってくる
書き終えたあと、いちばん気を抜きやすいのがここです。
運搬終了報告は、区間ごとに行われます。 つまり排出事業者の手元には、運搬に関する報告が2区間分戻ってくることになります。
- 1区間目を運び終えた運搬受託者 → 1区間目の運搬終了報告
- 2区間目を運び終えた運搬受託者 → 2区間目の運搬終了報告
それぞれ、運搬を終えた日から10日以内に排出事業者へ送ります。処分が終われば処分終了の報告(D票)、最終処分まで終われば最終処分終了の報告(E票)が続きます。この流れそのものは直行と同じで、マニフェストA票〜E票の流れと返送期限の数え方 で整理しています。
「1枚返ってきた」で安心しない
積替えの案件でいちばん見落とされるのが、1区間目の報告だけ返ってきて、2区間目が止まっているというパターンです。
ヤードに入った時点で1区間目は終わりますから、報告は早く戻ります。ところが2区間目は、ヤードに一定量たまるまで動きません。数日から、場合によってはもっと空きます。そのあいだに伝票がファイルに綴じられ、「返ってきたもの」として扱われてしまう。
排出事業者の側には、マニフェストを交付した日から90日(特別管理産業廃棄物は60日)以内に運搬・処分の終了報告の送付を受けられないとき、都道府県知事へ報告する仕組みがあります。最終処分の終了報告は180日です。ここで慌てないためにも、確認の目を少し変えておきたいところです。
未回収を見るときは、「伝票が返ってきたか」ではなく、「2区間分そろっているか」で数える。
管理表に区間の列を1つ足すだけで、見え方がずいぶん変わります。1区間目・2区間目の欄を作り、それぞれ日付を入れる。空欄が残っていれば、そこが追いかける先です。
積替えを経由する荷は、ヤードで別の荷とまとまることが多く、どのマニフェストの荷が、いつ処分場へ出たかが分かりにくくなりがちです。ヤード側で「いつ、どのマニフェストの分を出したか」を記録しておくと、あとから照会が来たときに探し回らずに済みます。保管の記録は 積替え保管ありの収集運搬許可で押さえる条件と保管上限 と 産廃の保管基準|高さ・囲い・掲示板を満たす積み方 もあわせてどうぞ。
5. 電子マニフェストの場合
電子マニフェスト(JWNET)でも、考え方は同じです。紙のように欄を探す必要がない代わりに、登録のときに運搬の区間数を選ぶところが分かれ目になります。
- 登録時に、運搬区間を1区間ではなく2区間として登録する
- 区間ごとに、運搬を担当する事業者を指定する
- 積替え保管場所を、運搬先(区間の終点)として指定する
- 運搬終了報告は、区間ごとに、担当した運搬事業者がそれぞれ入力する
紙よりも間違いにくいのは、区間を2つにしないと2社目が報告できないので、途中で気づけるからです。逆に、最初の登録で1区間にしてしまうと、あとから直す手間がかかります。積替えを経由する取引先は、初回登録のときに気をつけたいところです。
事業場の登録も先回りしておくと楽になります。ヤードを運搬先として指定するには、その事業場があらかじめ登録されている必要があります。新しいヤードを使い始めるときは、伝票の準備と一緒に登録も済ませておく。当日になって「選べない」と気づくのが、いちばん時間を取られます。
登録期限の数え方は 電子マニフェスト(JWNET)の登録期限「3日以内」の起算日、区間を間違えて登録してしまったときは 電子マニフェストの登録を間違えた…修正・取消の考え方と進め方 を参考にしてください。
6. 契約書の側も、そろっているか
伝票の書き方に気を取られると、後回しになりがちなのが委託契約書です。
積替え保管を経由する委託では、契約書に次のことを書いておく必要があります。
- 積替え保管を行う場所の所在地
- そこで保管できる産業廃棄物の種類
- その場所に係る保管上限
つまり、「うちのヤードを経由します」という話は、伝票だけの話ではなく契約の中身の話でもあります。直行の契約のまま経由を始めてしまうと、契約書に書いてある流れと、実際の流れが食い違った状態になります。
途中から積替え保管を経由することになったなら、覚書などで契約側を先に整えておくのが結果的に早道です。書き方は 委託契約書の法定記載事項チェックリスト と 単価や運搬先が変わったとき、覚書で契約を直す手順 にまとめています。
7. 現場で気をつけたいこと
車が変わる場所には、確認の一手間を置く。 積替え保管は、荷の管理がいちばん緩みやすい場所です。人が替わり、車が替わり、荷がまとまる。だからこそ、「下ろしたとき」と「積んだとき」に、伝票と荷を突き合わせる時間を短くていいので取っておきたいところです。
混ざらないように分ける。 ヤードで他の廃棄物と混ざってしまうと、あとから区分けができません。品目ごとの置き場と、コンテナの表示。地味ですが、マニフェストの正しさは、ここで守られています。
急ぎの1台のために、順番を飛ばさない。 「先に運んでおいて、伝票は後で」は、積替えの案件でとくに追いつかなくなります。区間が2つある分、後から思い出すのが難しくなるからです。
保存は5年、区間が2つでも1件は1件。 返ってきた票は、交付したマニフェストと同じ束にまとめて保存します。保存期間と整理の仕方は マニフェストの保存期間5年と保管の整理方法 にまとめました。
交付等状況報告書のときに、まとめて見直す。 年に一度の報告は、返ってきていない票を洗い出すいい機会でもあります(マニフェスト交付等状況報告書の書き方と提出先)。
積替え保管を経由するときのチェックリスト
- 自社の許可証に、そのヤードが積替え保管場所として記載されているか確認した
- 積み込む側・下ろす側、両方の自治体の許可がそろっているか確認した
- 委託契約書に、積替え保管場所の所在地・保管できる種類・保管上限が書かれているか確認した
- 直行用ではなく積替用のマニフェスト伝票を手配した
- 伝票の各票に印字された名称(控/送付用)を、切り離す前に読んだ
- 運搬受託者の欄を、区間の数だけ埋めた(1社が両区間でも両方書いた)
- 積替え保管の欄に、ヤードの所在地と連絡先を書いた
- 「運搬先の事業場」欄には、ヤードではなく処分(中間処理)の事業場を書いた
- 数量は交付時のまま書き、勝手な書き換えをしていない
- 管理表に「1区間目」「2区間目」の列を作った
- 返却の確認を「枚数」ではなく「2区間分そろったか」で見るようにした
- 電子マニフェストの場合、登録時に2区間として登録した
- 電子マニフェストの場合、ヤードを事業場として登録済みか確認した
- ヤード側で「いつ、どのマニフェストの分を搬出したか」を記録している
明日やること
全部を一度にやらなくて大丈夫です。明日は1つだけにしましょう。
いま手元にある、積替え保管を経由する案件のマニフェスト管理表を開いて、列をひとつ足してください。名前は「2区間目」で十分です。
そして、そこが空欄のまま止まっている案件がないか、上から目で追ってみる。もし見つかったら、それは今日いちばん価値のある発見です。
最後に

積替え保管を挟むという判断は、たいてい現場の工夫から生まれています。小さな現場を効率よく回るため。車を空で走らせないため。近隣の時間帯に配慮するため。誰かが頭を使った結果、その流れになっている。
でも、工夫した分だけ、書類は複雑になります。運ぶ回数が増え、確認する相手が増え、戻ってくる報告も増える。現場の工夫のツケが、事務の机の上に積まれる——そんな構図に、少し理不尽さを感じることもあると思います。
それでも、区間という考え方をひとつ持っておくと、この複雑さはかなりほどけます。荷の流れが2つに分かれているだけ。分かれているなら、書く欄も、返ってくる報告も、2つある。それだけのことです。
そして、こうやって伝票をきちんとたどっている人がいるから、その荷は最後まで行き先を見失わずに済んでいます。ヤードで一度立ち止まった荷が、ちゃんと処分場に着いたと分かる。それを確かめられるのは、あなたの管理表だけです。
列をひとつ足すところから、始めてみてください。それで十分、前に進んでいます。
よければ、こちらも
- 積替え保管ありの収集運搬許可で押さえる条件と保管上限
- マニフェストA票〜E票の流れと返送期限の数え方
- 数量・荷姿・運搬先の修正が必要なときのマニフェスト訂正手順
- 委託契約書の法定記載事項チェックリスト
- 電子マニフェスト(JWNET)の登録期限「3日以内」の起算日
- マニフェストの保存期間5年と保管の整理方法
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