屋外の保管場所で、囲いと掲示板の前に立ち、積み上げられた産廃の容器と書類を見比べて条件を確かめる作業着姿の担当者

積替え保管ありの収集運搬許可で押さえる条件と保管上限

「いったん自社のヤードで積替え保管をはさんで運びたい」——そう思ったとき、ふと手が止まったことはありませんか。 いまの収集運搬の許可は「積替え保管を除く」で取っていたはず。荷物を一度おろして積み替えるだけでも、許可を取り直さないといけないのか。保管場所は、どんな条件を満たせばいいのか。確認するほど気が重くなりますよね。

まずお伝えしたいのは、積替え保管をするなら「積替え保管を含む」区分の許可が必要で、そこには保管場所の条件保管量の上限という、押さえどころがはっきりある、ということです。ひとつずつ確かめれば、慌てる話ではありません。この記事では、その条件と上限を、現場で確かめやすい順に整理します。

結論:収集運搬業の許可には「積替え保管を含む」と「積替え保管を除く」の区分があり、荷を一度おろして別の車両などに積み替える(その間ためておく)なら、積替え保管を含む許可が要ります。いまの許可が「除く」なら、変更許可の手続きが必要です。積替え保管の場所には主に、(1) 囲いがあり、(2) 環境省令で定める事項を書いた掲示板(縦横60cm以上が目安)を設け、(3) 飛散・流出・地下浸透・悪臭を防ぐ措置をとり、(4) 屋外で容器を使わず積む場合は高さの制限を守る、という保管基準がかかります。加えて積替え保管には、(5) 保管量の上限(そこから1日に運び出す平均量のおおむね7日分まで、が基本の考え方)があります。特別管理産業廃棄物ならさらに厳しい条件が加わります。細かな数量・様式・審査は許可権者(自治体)ごとに運用差があるので、最後は窓口で確認するのが確実です。

順番に見ていきましょう。

  1. まず「積替え保管にあたるか」を確かめる
  2. いまの許可を変えるのか——変更許可の考え方
  3. 保管場所の条件(囲い・掲示板・飛散防止・高さ)
  4. 見落としやすい「保管量の上限」
  5. 申請前の最終チェックは許可権者の窓口で

1. まず「積替え保管にあたるか」を確かめる

排出場所から積替え保管の場所を経て処分先へと廃棄物が流れる様子を指し示す担当者
排出場所から一度おろして仮置き・積み替え、そこから処分先へ運ぶ。この「はさむ保管」が積替え保管

最初にすることは、これからやろうとしている運び方が「積替え保管」にあたるのかを見分けることです。ここを取り違えると、必要な許可も条件もずれてしまうので、いちばん大事な入口です。

積替え保管とは、排出場所から集めた産業廃棄物を、処分先までの途中でいったん車両からおろし、別の車両などに積み替えるために保管しておくことをいいます。たとえば、

こうした「途中で一度おろして、また積む」流れが積替え保管です。

一方で、排出場所から処分先まで同じ車でそのまま直行するなら、積替え保管はしていません。この場合は「積替え保管を除く」区分の許可で足ります。まずは、自分の運び方が「直行なのか」「途中で一度おろすのか」を確かめるところから始めましょう。

「ちょっと停めて休憩する」「同じ車のまま少し待機する」だけなら、荷をおろしていないので通常は積替え保管にはあたりません。判断に迷うときは、後述のとおり許可権者の窓口で運び方を具体的に伝えて確認するのが確実です。

2. いまの許可を変えるのか——変更許可の考え方

積替え保管をするなら、収集運搬業の許可が「積替え保管を含む」になっている必要があります。いまの許可証を見て、「積替え保管を除く」となっていたら、そのままではできません。

このとき必要になるのは、多くの場合変更許可です。積替え保管の有無や保管場所は、許可の内容そのものにかかわる部分なので、「届出だけ」では済まず、あらためて審査を受けて許可を取り直す扱いになるのが一般的です。届出で足りるものと、許可が要るものの線引きは迷いやすいので、変更届と変更許可はどう違う?見分け方もあわせて見てみてください。

ここで気をつけたいのが、保管場所の所在地を管轄する許可権者の許可が要る、という点です。収集運搬業の許可は、荷物を積む場所・おろす場所を含む区域の都道府県・政令市ごとに必要になります。積替え保管の場所を新しく設けるなら、その場所を管轄する自治体の許可(や変更許可)が関わってきます。「運ぶルートの自治体」だけでなく「保管場所の自治体」も忘れずに数えておきましょう。

新規で許可から取る場合に何をそろえるかは、収集運搬業許可の新規申請に必要な書類一覧と集め方が土台になります。積替え保管ありで申請するときは、これに保管場所の図面や条件を満たすことを示す資料が加わる、とイメージしておくとよいです。

3. 保管場所の条件(囲い・掲示板・飛散防止・高さ)

積替え保管の場所には、産業廃棄物の保管基準がかかります。これは自社のヤードで保管する場合と共通の考え方で、主に次のとおりです。

保管基準そのものの詳しい確認ポイントは産廃の保管基準|囲い・掲示板・高さの確認ポイントにまとめています。積替え保管の場所も、基本はこの基準を満たすことが出発点になります。

4. 見落としやすい「保管量の上限」

保管場所にためてよい量の上限を、1日の搬出量のおおむね7日分と確かめて安心する担当者
積替え保管でためてよいのは「1日に運び出す平均量の、おおむね7日分」まで。ためこみすぎないのが基本

積替え保管でとくに見落とされやすいのが、ためておける量の上限です。積替え保管はあくまで「運ぶ途中の一時的な保管」なので、処分場のように長くたくさんためておくことは想定されていません。

基本の考え方は、「その保管場所から1日に運び出される平均的な量7を掛けた量(=おおむね7日分)を超えて保管しないこと」です。あわせて、運び出す量が運び込む量を下回らない(=入ってくる一方でたまり続けない)ことも求められます。要は「入れたら、ちゃんと出していく。ためこまない」という運用です。

この上限は、記録の付け方や搬出のサイクルとも直結します。日々の搬入・搬出の量をメモしておくと、「いま上限に近づいていないか」を自分で確かめやすくなります。

なお、特別管理産業廃棄物の積替え保管は、上限の考え方や表示・区分がさらに厳しくなります。特管が絡むときは、特別管理産業廃棄物の見分け方と取扱いの注意点も確認し、無理に現場だけで判断せず社内の許可担当と連携しましょう。

5. 申請前の最終チェックは許可権者の窓口で

ここまでの条件は「基本の型」です。実際の申請では、保管場所の面積・数量の上限の書き方、図面の様式、現地確認の有無、必要書類などが、都道府県・政令市(許可権者)ごとに運用が分かれます

これらは、申請先の自治体の手引きに具体的に書かれていることが多いです。申請前に一度、運び方(どこで積み、どこでおろし、どこで積み替えるか)を具体的に伝えて窓口で相談しておくと、書類のやり直しを防げます。ここは現場担当者一人で抱えず、社内の許可・契約担当に引き継いで進めてもらえれば十分です。

現場で使えるチェックリスト

全部を一度に完璧にしなくて大丈夫です。まずは「自分の運び方が積替え保管にあたるか」を見分けるところからで十分です。許可・書類にまたがる後半は、社内の許可担当に引き継いで確認してもらいましょう。

まずここまで(自分の運び方から)

保管場所の条件(現地で)

ここからは社内の許可・契約担当に引き継いで確認

最後に

囲いと掲示板の整った保管場所の前で、書類を手に肩の力が抜けて穏やかな表情を見せる担当者
条件をひとつずつ確かめられた。それができていれば十分です

積替え保管は、名前だけ見ると身構えてしまいますが、押さえどころは「積替え保管を含む許可か」「保管場所の条件(囲い・掲示板・飛散防止・高さ)」「ためすぎない量の上限」の3つです。 今日この3つが頭に入れば、それだけでもう十分前に進んでいます。

一度で全部そろえられなくて大丈夫です。まず自分の運び方を見分けて、確認の入口をひとつ手元に置けたなら、それはもう現場を守る大きな一歩です。細かいところは、いつでも許可権者の窓口が一緒に確かめてくれます。

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