事務所のデスクで受話器を肩に挟みながら許可証の品目欄を指でなぞり、取り扱える品目を確かめている産廃の現場担当者

産廃の許可品目を追加したい|変更許可申請の進め方と段取り

「今度から汚泥も一緒に運んでもらえないかな」。 長くお付き合いのある取引先からそう聞かれて、許可証を見直したら、汚泥が載っていなかった。せっかく声をかけてもらえたのに、と少し焦りますよね。

でも、ここで手が止まるのは自然なことです。品目の追加は何年かに一度あるかないかの手続きで、慣れている人のほうが少ないものです。 この記事では、許可品目を追加するときの「変更許可申請」を、相談・準備・申請・許可後の4つの段階に分けて、一緒に順番に見ていきます。

結論:許可品目(取り扱う産業廃棄物の種類)を増やすのは「事業の範囲の変更」にあたり、品目を扱い始める前に「変更許可」を受けるのが原則です(廃棄物処理法第14条の2)。許可が下りるまでは、その品目は受けられません。進め方は ①所管窓口へ事前相談 → ②品目に合った車両・容器・施設の説明をそろえる → ③許可を持つ自治体ごとに申請 → ④許可後に契約書・許可証写しを差し替えてから受託開始 の順。審査には日数がかかるので、取引先には「許可が下りてから始めます」と早めに伝えておくと安心です。様式・手数料・審査期間は自治体ごとに違うため、最終は所管窓口の手引きで確認してください。

許可品目の追加で、何が起きやすいか

品目追加でいちばん起きやすいのは、書類の書き間違いよりも「始める順番」のすれ違いです。

どれも、忙しい中で取引先の期待に応えようとした結果として起きることです。 だからこそ、手続きの中身より先に、「許可が下りるまでは受けない」「下りたら書類を直してから始める」という順番を、社内と取引先で先に共有しておくのがいちばん効きます。

変更許可と変更届の大まかな見分け方は、産廃の変更許可と変更届、どっちが必要か迷ったときの見分け方で整理しています。この記事は、その中の「品目を追加する」場面に絞った続きです。

はじめに確かめたい3つのこと

申請の準備に入る前に、次の3つを確かめておくと、あとから手戻りが起きにくくなります。

1. 追加したいのは「普通の産廃」か「特別管理産業廃棄物」か

追加したい品目が、引火性の廃油や感染性廃棄物などの特別管理産業廃棄物なら、今の産業廃棄物の許可に品目を足すのではなく、特別管理産業廃棄物の許可を別に取ることになります(変更許可ではなく新規の許可申請)。講習会の課程も別なので、段取りが大きく変わります。 くわしくは特別管理産業廃棄物は別の許可がいる?普通の産廃許可との関係にまとめています。

2. 今の許可証に、どう書かれているか

いまの許可証の「事業の範囲」欄を開いて、取り扱える品目と、「〇〇に限る」といった限定の条件がついていないかを見ておきます。 たとえば同じ品目でも「石綿含有産業廃棄物を除く」などの書き方があると、追加したい中身によっては範囲の変更にあたることがあります。見方は産廃許可証の見方|事業の範囲と「限定」条件、確認したい3か所が参考になります。

3. どの自治体の許可に追加が必要か

収集運搬業の許可は、積む場所と降ろす場所の都道府県(政令市の扱いを含む)ごとに持っているはずです。 追加したい品目を運ぶルートに関わるすべての許可で、それぞれ変更許可が必要になります。1つの自治体だけ追加して、もう片方を忘れていた、というのはよくあるすれ違いです。考え方は複数の自治体をまたぐ収集運搬、どこの許可がいるか迷ったときで整理しています。

変更許可申請を4つの段階で見る

事前相談、書類準備、申請・審査、許可後の差し替えという4つの段階を、左から右へ順に並べたボードを指さして確認する現場担当者
品目追加は「相談→準備→申請→許可後の差し替え」の4段階。受託を始めるのは、いちばん右の段階が終わってから

ここからは、実際の進め方を4つの段階に分けて見ていきます。全体を先に眺めておくと、「いま自分はどこにいるか」が分かりやすくなります。

段階1:相談——動き出す前に、所管窓口へ一本電話する

まずは許可を受けている自治体の産業廃棄物担当窓口に、「〇〇(品目)を追加したい」と相談します。 多くの自治体では、品目の追加に事前相談や事前の書類確認を求めていたり、勧めていたりします。

電話で聞いておくと安心なのは、次の4点です。

手数料や審査の日数は自治体ごとに違うので、ここは数字を思い込みで決めず、その自治体の手引きの最新版で確かめてください。

段階2:準備——その品目を「安全に運べる」ことを書類で示す

品目を追加するときに審査で見られるのは、ひとことで言えば「その品目を、飛散・流出させずに運べる(処分できる)体制があるか」です。

収集運搬業なら、たとえば次のようなことを説明できるようにしておきます。

車両を新しく入れる場合は、増車の届出とあわせて考える必要があります。産廃の車両を増車・変更したときの届出と車検証の添付もあわせて見てみてください。

処分業(中間処理業)で品目を追加する場合は、処理施設がその品目を処理できる能力・構造かが中心になります。施設そのものに手を入れる場合は、施設の設置許可の変更など別の手続きが関わることもあるので、段階1の相談で必ず確かめておきましょう。

段階3:申請——許可を持つ自治体ごとに出し、審査を待つ

書類がそろったら、許可を受けている自治体ごとに変更許可を申請します。申請は窓口への持参が基本の自治体もあれば、予約制や電子申請に対応している自治体もあります。

審査中は、追加した品目はまだ扱えません。この間にできるのは、

の2つです。審査のあいだの待ち時間は、焦りやすいところです。でも、ここで待てていることこそ、取引先から見た「ちゃんとしている会社」の姿でもあります。

段階4:許可後——書類を差し替えてから、受託を始める

変更許可が下りると、品目が追加された新しい許可証が交付されます。受託を始める前に、次の書類を整えます。

ここまで終えて、はじめて追加した品目の受託スタートです。

よくある迷いどころ

Q. 申請は受理されたので、もう運び始めてもいいですか? 受理と許可は別のものです。許可が下りて、新しい許可証の日付以降でなければ、その品目は扱えません。

Q. 更新の時期が近いのですが、更新と一緒にできますか? 更新申請と同時に品目追加を受け付けるかどうかは、自治体によって扱いが違います。更新期限が近いときほど、段階1の相談で「同時にできるか、別々に出すべきか」を確かめておくと安心です。更新の段取りは産廃許可の更新を忘れないための期限管理とリマインド設計にまとめています。

Q. 品目を減らす(扱わなくなる)ときも、変更許可がいりますか? 品目を減らすのは「事業の一部廃止」として、許可ではなく届出で扱われるのが一般的です。期限が決まっているので、手引きで確認しておきましょう。

明日やること

明日やることは、ひとつで十分です。 いまの許可証を全部(自治体ごとに)机に並べて、追加したい品目が載っているかどうかを一枚ずつ確かめ、所管窓口の電話番号と「申請の手引き」のページをメモしておく。 ここまでできれば、取引先には「許可を取って対応します。見込みが立ったらご連絡しますね」と、落ち着いて返事ができます。

許可品目追加のチェックリスト

最後に

取引先から「これも頼める?」と声をかけてもらえるのは、ふだんの仕事が信頼されているからこそです。 品目の追加は、その信頼に、ひとつずつ手順を踏んで応えていく手続きです。急がなくて大丈夫です。順番さえ守れば、ちゃんと届きます。

品目が追加された新しい許可証を受け取り、収集車の前で取引先の担当者と笑顔で言葉を交わす産廃の現場担当者
順番を守って取った許可は、取引先との信頼をもう一段深くする

今日、許可証を並べて品目を確かめられたなら、もう手続きは動き始めています。取引先への最初の一言、落ち着いて返していきましょう。

よければ、こちらも

関連用語