
産廃の車両を増車・変更したときの届出と車検証の添付
新しいトラックが納車された日。 車庫に並んだ車を見て少し誇らしくなったあと、ふと不安がよぎります。 「そういえば、産廃の許可のほうって何か出さないといけなかったよな……」。
車を増やすのは、会社にとっては前向きな出来事です。 でも産廃の実務では、そこに届出という一手間がくっついてきます。しかも毎月あることではないので、そのたびに手が止まる。迷うのは当然です。
この記事では、増車・車両の入れ替え・減車のときに、誰に・いつまでに・何を出すのかを、動く順番で一緒に整理していきます。
結論:収集運搬車両の増車や入れ替えは、事業の中身が広がる変更ではないので、原則は事後の「変更届出書」で対応します。期限の目安は変更の日から10日以内。添付は車検証(自動車検査証)の写しと車両の写真が中心で、他社名義やリース車なら使用権原がわかる書類も要ります。そして忘れやすいのが、許可を受けている自治体すべてに、それぞれ出すという点です。対象・様式・日数は自治体で運用が分かれるため、最終は各所管窓口の要綱で確認してください。
まずは、この3つだけ持って帰れば大丈夫です。
- 増車・変更は「変更許可」ではなく「変更届」で足りることが多い
- 期限の目安は10日以内。ただし使い始める前に出すつもりで段取りする
- 出す先は「許可を持っている自治体すべて」
何が起きやすいか
この手続きでつまずくのは、書き方そのものよりもタイミングと出し先の抜けです。
いちばん多いのが、「先に走らせてしまった」というすれ違い。 届出は法令上は事後で足りても、届け出ていない車両で産廃を運ぶ状態は、許可の内容と実態がずれている形になります。自治体によっては「使用開始前に提出を」と案内しているところもあります。納車の予定が見えた時点で書類を進めておくと、この気まずさは避けられます。
もうひとつが、複数の自治体から許可を受けているケース。 本社のあるA県のほかにB市・C県でも収集運搬業の許可を持っているなら、同じ1台の増車でも、A県・B市・C県それぞれに届出が要るのが原則です。1か所出して安心してしまい、他が抜ける——ここは役員変更のときと同じ落とし穴です。
そして地味に効くのが、車両表示とステッカー。届出は出したのに、車体の表示が間に合っていない。これも現場でよく聞く話です。
届出が必要になる車両まわりの変更

変更届の対象になりやすいのは、次のような場面です。
- 増車(車両を新しく追加した)
- 車両の入れ替え(古い車を降ろして新しい車を入れた)
- 減車・廃車(使わなくなった車を外した)
- ナンバー・車種・最大積載量の変更(同じ車でも登録内容が変わった)
- 運搬容器の変更(コンテナ・ドラム缶などを新しくした)
- 駐車場所(車庫)の変更
一方で、取り扱う産廃の種類を増やす、積替え保管を新たに始めるといった、事業の中身そのものが広がる変更は、事後の届出ではなく事前の「変更許可」の世界です。車両まわりの話は多くが届出側ですが、迷ったら動く前に一度確認しておくと安心です。
減車を「減るだけだから」と後回しにするのも、よくある見落としです。許可の内容と実態をそろえておくのが目的なので、降ろした車も届け出ると覚えておきましょう。
車検証の添付でつまずかないために
添付書類の中心は、車検証(自動車検査証)の写しです。ここで最近つまずきやすいのが、車検証の電子化です。
2023年1月から、新規登録・車検更新の際に交付されるものが電子車検証(ICチップ付きのA6サイズのカード)に切り替わりました。この電子車検証は、券面に印字されない項目があります。所有者情報や有効期間などは、ICチップの中に入っているためです。
そのため、券面をコピーしただけでは自治体が確認したい項目が読み取れないことがあります。必要な情報は、「自動車検査証記録事項」として出力したものを添えるのが確実です。これは以下の方法で入手できます。
- 車検を受けた際に、紙の「自動車検査証記録事項」が一緒に交付されている(まずは手元を確認)
- 国土交通省が提供する車検証閲覧アプリ(パソコン・スマートフォン)でICチップを読み取り、記録事項を表示・出力する
- 運輸支局や自動車検査登録事務所の窓口で出力してもらう
古い車で紙の車検証(A4サイズ)のままのものは、従来どおりその写しで問題ありません。手元の車両で新旧が混ざっていることもあるので、コピーを取る前に1台ずつ見ておくと二度手間になりません。
車検証のほかに求められることが多いのは、次のあたりです。
- 車両の写真(前面・側面など。ナンバーと車両表示が読み取れる状態で、と指定されることが多い)
- 使用権原を示す書類(リース車両ならリース契約書の写し、他社名義なら使用承諾書など)
- 車庫・駐車場所の使用権原を示す書類(自社所有なら登記、賃借なら賃貸借契約書の写し)
写真は「表示を貼ったあと」に撮る必要がある場合があります。段取りの順番に関わるので、様式の注意書きを先に読んでおきましょう。
車両表示と書面備付けも忘れずに
届出とセットで必要なのが、車体の表示と書面の備付けです。産廃を運ぶ車両には、次の表示が求められます。
- 「産業廃棄物収集運搬車」である旨
- 氏名または名称(会社名)
- 許可番号(下6桁以上)
文字の大きさにも決まりがあり、産業廃棄物収集運搬車である旨は日本工業規格(JIS)の140ポイント以上、氏名・許可番号は90ポイント以上が基準です。マグネットシートでも構いませんが、走行中に外れない付け方にしておきましょう。
あわせて、車両には許可証の写しと委託契約書の写し(または電子マニフェスト使用時の必要書類)などを備え付けます。新しい車には、この一式がまだ載っていません。「届出・表示・書面一式」の3点セットで新車の準備を組むと、抜けにくくなります。
明日やること(小さく分けて)
一度に全部そろえようとせず、順番に分けていきましょう。
- 納車(または入れ替え・減車)の予定日を紙に一行で書き出す
- 自社が許可を受けている自治体を、すべて洗い出す(本社所在地の県だけでなく、政令市・他県も)
- 各自治体の様式と、届出期限・添付書類を公式サイトで確認する(「◯◯県 産業廃棄物 収集運搬 変更届出書」で探せます)
- 車検証を1台ずつ確認する(電子車検証なら「自動車検査証記録事項」を出力しておく)
- 車両表示(プレート・マグネット)を手配し、貼り付ける
- 表示を付けた状態で車両写真を撮る(前面・側面、指定があればそれに合わせて)
- 提出先ごとに1部ずつ作成し、控えを取ってから提出する
- 許可証の写し・契約書の写しなど、車内備付け書類を積む
この順番なら、「写真を撮り直し」という戻りが起きません。
車両の増車・変更 届出チェックリスト
- 最低ライン(今日中):納車・変更の予定日と内容を一行で書き出した
- これは変更許可ではなく、変更届(事後)で対応するものだと確認した
- 期限の目安(変更の日から10日以内)と、自治体が事前提出を求めていないかを確認した
- 許可を受けている自治体をすべて洗い出した(本社以外の県・政令市も)
- 各自治体の様式・添付書類を公式サイトで確認した
- 車検証が紙か電子かを1台ずつ確認した
- 電子車検証の車両は「自動車検査証記録事項」を出力して用意した
- リース・他社名義の車は使用権原を示す書類を用意した
- 車庫・駐車場所の使用権原を示す書類を用意した
- 車両表示(産業廃棄物収集運搬車の旨・会社名・許可番号)を貼り付けた
- 表示を付けた状態で車両写真を撮った
- 車内に許可証の写し・契約書の写しなど備付け書類を積んだ
- 降ろした車(減車・廃車)の届出も忘れていない
- 提出先ごとに控えを取り、提出済み/未提出をチェック表で管理している
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その変更が「届出」でよいのか「許可」がいるのか迷うときは、産廃の変更許可と変更届、どっちが必要か迷ったときの見分け方を先に読むと判断しやすくなります。 役員変更や本店移転が重なったときは産廃の役員変更・本店移転があったら?届出の期限と進め方を、複数の自治体で許可を持っている場合の進め方は複数自治体にまたがる産廃許可の申請の進め方をどうぞ。 新しい車で運び始める前に積込みの手順を見直したいときは、産廃の運搬で落下・飛散を防ぐ積込みと固縛のポイントもあわせて。
最後に
車が増えるのは、仕事が回っている証拠です。 その裏で書類を整える人がいるから、翌朝その車は堂々と現場へ入っていけます。地味で、誰にも見られない準備かもしれませんが、確かに会社を守っている仕事です。
予定日を書き出して、出す先の自治体を並べられた時点で、もう半分は終わっています。 あとは一枚ずつ埋めていくだけ。焦らず進めていきましょう。
