事務所の机で、委託契約書とマニフェストの控えのファイルを並べ、壁のカレンダーの月末を見ながら切り替えの段取りを考える廃棄物管理の担当者

産廃の委託契約を解除・満了するとき、残った未処理分はどうする?

「今の処分業者さんとの契約、来月末で満了にして、新しいところに切り替えることになったから」。 そう決まったのはいいけれど、ふと手が止まります。先週引き渡した分は、まだ処分が終わっていないはず。保管場所にも、次の回収を待っている分が置いてある。

「契約が終わったら、この分はどうなるの?」

委託契約の切り替えは、年に何度もある仕事ではありません。だからこそ、どこから手をつければいいか迷いますよね。この記事では、契約の解除や満了のときに残っている「未処理の産廃」を、取りこぼさずに引き継ぐ段取りを整理します。

結論:契約が終わる日に、処分がすべて終わっていることはまずありません。まず残っている分を「自社保管(まだ渡していない分)」「処理中(渡したけれど処分が終わっていない分)」「報告待ち(処分は終わり、最終処分の報告を待っている分)」の3つに分けます。自社保管の分は、新しい業者との契約を交わしてから渡す。処理中・報告待ちの分は、契約が終わったあとも、今の業者に最後まで処理してもらい、マニフェストが戻るまで見届ける。この2本立てで考えると、落ち着いて進められます。

契約の終わりに「未処理の産廃」が残るのは、ふつうのこと

産廃は、引き渡した日に処分が終わるわけではありません。運搬して、中間処理をして、残さを最終処分先へ送る。その間に数日から数か月かかります。紙マニフェストの返送期限が、処分終了の報告(D票)で交付から90日、最終処分終了の報告(E票)で180日と長めに取られているのも、この時間差があるからです。

つまり、契約を終える日には、ほぼ必ず「途中の産廃」が残っています。これは段取りの失敗ではなく、仕組み上そうなる、というだけのことです。

廃棄物処理法でも、このことは想定されています。委託契約書には、法令で決められた記載事項のひとつとして「委託契約を解除した場合の、処理されていない産業廃棄物の取扱い」を書くことになっています。いまの契約書にも、たいてい解除や終了についての条項があるはずです。契約書に入れる項目全体は産廃の委託契約書に必ず入れる法定記載事項を整理で確認できます。

残っている産廃を3つに分けて考える

事業所の保管場所に置かれた袋、処理施設で機械にかけられている廃棄物、机の上で戻りを待つ伝票の控えの3つの場面を左から並べた図
契約が終わる日に残っている産廃は「自社保管」「処理中」「報告待ち」の3つに分けて考える

契約の終わりに残っている産廃は、置かれている場所と進み具合で、次の3つに分かれます。扱い方がそれぞれ違うので、最初にここを分けておくと迷いません。

区分どんな状態か基本の扱い
自社保管まだ業者に渡しておらず、自社の保管場所にある新しい業者との契約を交わしてから渡す
処理中今の業者に渡したが、処分がまだ終わっていない今の業者に最後まで処理してもらう
報告待ち処分は終わり、最終処分の報告(E票など)を待っている報告が戻るまで見届ける

ポイントは、すでに渡した分(処理中・報告待ち)は、契約が終わっても今の業者が最後まで処理する、という考え方です。契約の期間中に渡した廃棄物は、その契約にもとづいて処理を引き受けてもらったものです。契約書の解除・終了の条項も、ふつうはこの前提で書かれています。

満了・切り替えのときの段取り5ステップ

1. 契約書の「解除・終了」の条項を読み直す

まず、いまの契約書を開いて、次のところを確かめます。

自動更新の契約を満了で終える場合は、予告期間までに申し出る必要があります。条項の読み方は産廃の委託契約書の自動更新条項|書き方と、毎年確認したいことで整理しています。

2. マニフェストで「処理中」「報告待ち」を洗い出す

次に、今の業者に渡した分のうち、まだ終わっていないものを一覧にします。手がかりはマニフェストです。

電子マニフェストなら、状況の一覧画面で「処分終了報告なし」「最終処分終了報告なし」のものを絞り込むと早いです。紙なら、控えのファイルを交付日の順に見ていきます。洗い出したら、交付日と、D票・E票の返送期限を横に書いておきましょう。戻り方と期限の数え方はマニフェストA票〜E票の流れと返送期限の数え方にまとめています。

3. 今の業者と「最後の引き渡し日」と完了の見込みをすり合わせる

洗い出しができたら、今の業者に連絡して、次の2つを確認します。

話がついたら、メールや書面で残しておくと、担当者が替わっても引き継げます。長く付き合ってきた業者さんとの最後のやり取りは、少し気まずく感じることもあるかもしれません。でも、「最後の分まで、よろしくお願いします」と丁寧に伝えれば、たいていは快く応じてもらえます。

4. 新しい業者との契約は、最初の引き渡しの「前」に交わす

自社保管の分は、新しい業者に渡すことになります。ここで気をつけたいのが、新しい業者との契約を、最初に渡す日より前に交わしておくことです。

切り替えの時期は、次のどちらかが起きやすくなります。

「旧業者への最後の引き渡し日」と「新業者への最初の引き渡し日」をカレンダーに並べて書いておくと、どちらも防げます。新しい業者の許可証で、今回の品目が事業の範囲に入っているかも、契約前に確認しておきましょう。締結日の考え方は産廃委託契約の締結日と処理開始日、契約は「処理の前」にが参考になります。

5. 最後の1枚が戻るまで見届け、契約書は5年保存する

契約が終わったあとも、ステップ2で作った一覧は捨てずに持っておきます。D票・E票が戻るたびに消し込み、最後の1枚が戻ったところで、この切り替えは本当の意味で完了です。

期限を過ぎても戻らないものがあれば、まず業者に状況を問い合わせます。それでも処理の完了が確認できないときは、状況を把握して必要な措置を講じ、期限から30日以内に措置内容等報告書を都道府県知事等(政令市ならその市長)に出します。書き方はマニフェストが返送されないときの措置内容等報告書の書き方で整理しています。

終わった契約の契約書は、契約が終了した日から5年間の保存が必要です。新しい契約書と同じファイルに入れず、「終了分」として分けて綴じておくと、立入検査などで聞かれたときにすぐ出せます。詳しくは産廃の委託契約書はいつまで保存する?契約終了後の管理の順番を見てみてください。

業者の都合で契約が終わるとき

ここまでは、自社の判断で切り替える場合の話でした。一方で、業者の側の事情で契約を続けられなくなることもあります。事業の廃止、施設の休止、許可の取消しや事業停止などです。

こうした理由で処理を続けられなくなった処理業者は、委託者に対して、10日以内に書面で「処理困難通知」を出すことになっています。この通知が届いたら、排出事業者として次の順で動きます。

  1. 新しい引き渡しを止める:通知を出した業者には、次の回収分を渡さない
  2. マニフェストで処理中・報告待ちを洗い出す:ステップ2と同じやり方で
  3. 処理の状況を確かめ、必要な措置を考える:処分が終わっていない分について、業者に状況を聞き、生活環境への支障が出ないように手を打つ
  4. 措置の内容を報告する:処分の終了が確認できない分があれば、通知を受けた日から30日以内に、講じた措置を都道府県知事等に報告する
  5. 新しい委託先と契約する:自社保管の分は、新しい業者との契約を交わしてから渡す

とくに、すでに渡した分を別の業者に移して処理し直す必要が出たときは、誰が契約とマニフェストを整えるのかが複雑になります。ここは自己判断で進めず、早めに管轄の自治体の窓口に相談するのがいちばん確実です。「こういう通知が届いたのですが、どう進めればよいですか」と聞けば、状況に合わせて教えてもらえます。

施設が止まったときに処理業者の側で起きていることは、産廃施設の停電・設備故障|受入停止の判断と連絡の順番でも触れています。

明日やること

明日の一歩は、これだけです。

いまの委託契約書を1冊開いて、「解除」「終了」「更新」と書かれた条項に付せんを貼る。

予告期間が何か月か、未処理の産廃の扱いがどう書かれているか。それが分かっているだけで、切り替えの話が出たときの動き出しがまるで違います。切り替えの予定がまだなくても、読んでおくだけで十分な準備です。

契約の解除・満了のチェックリスト

最後に

戻ってきた最後の伝票の控えをファイルに綴じ終え、窓辺の机でほっとした笑顔を見せる廃棄物管理の担当者
最後の1枚が戻るまで見届けて、切り替えはきちんと完了

契約の切り替えは、新しい業者を選ぶところに目が行きがちです。でも、本当に大事なのは、前の契約で渡した分を最後まで見届けること。そこに気づいて、この記事を読んでいる時点で、もう十分に丁寧な仕事をしています。

一度通しておけば、次の切り替えのときには、今回作った一覧とカレンダーがそのまま段取り表になります。まずは契約書に付せんを1枚。そこから始めてみましょう。

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