解体現場の脇で、二重に梱包され表示された石綿含有廃棄物の袋を前に、書類と見比べて区分を確かめる作業着姿の運搬担当者

石綿含有廃棄物の分別と運搬|2つの区分の見分け方

「この廃棄物、石綿を含んでいるらしい」——解体現場から出た袋を前に、そう言われて手が止まったことはありませんか。 うちの許可品目で運んでいいのか。特別管理産業廃棄物として扱うのか、それとも普通の産廃でいいのか。飛散させたら大変なだけに、確認のたびに気が重くなりますよね。

まずお伝えしたいのは、石綿を含む廃棄物は大きく2つの区分しかない、ということです。 この2つのどちらにあたるかさえ手元で見分けられれば、「破砕していいか」「特管の許可がいるか」「マニフェストにどう書くか」まで、順番に判断できます。この記事では、その見分け方と、運搬で飛散させないための基本を、現場で確かめやすい順に整理します。

結論:石綿を含む廃棄物は、(1) 石綿含有産業廃棄物(がれき類・ガラスくず等で、石綿を重量の0.1%を超えて含むもの=比較的飛散しにくい固形物)と、(2) 廃石綿等(吹付け石綿・石綿保温材などの除去で出るものや、石綿の付いた集じん装置のろ布・防じんマスク・作業衣など=飛散のおそれが高いもの)の2つに分かれます。(2)の廃石綿等は特別管理産業廃棄物にあたり、特管の許可・特管のマニフェスト・より厳重な梱包が必要です。どちらの区分かは、解体・改修工事の事前調査結果を手がかりに確認するのが確実です。運搬では共通して「破砕しない・飛散させない・他の廃棄物と混ぜない・石綿を含む旨を表示する」を守ります。迷ったら、いったん厳しい側(廃石綿等)に倒して隔離し、区分がつくまで混ぜないのが安全側の進め方です。

順番に見ていきましょう。

  1. まず「どちらの区分の石綿廃棄物か」を確かめる
  2. 石綿含有産業廃棄物を運ぶときに気をつけること
  3. 廃石綿等(特管)を運ぶときに気をつけること
  4. 許可品目とマニフェストの記載を合わせる

1. まず「どちらの区分の石綿廃棄物か」を確かめる

石綿を含む廃棄物が「石綿含有産業廃棄物」と「廃石綿等」の2つの区分に分かれる様子を確かめる担当者
石綿を含む廃棄物は、飛散しにくい固形物(石綿含有産業廃棄物)と、飛散性の高いもの(廃石綿等=特管)の2つに分かれる

最初にすることは、目の前の廃棄物が2つの区分のどちらにあたるかを見分けることです。ここを取り違えると、許可も梱包もマニフェストもずれてしまうので、いちばん大事な入口です。

石綿含有産業廃棄物(せきめんがんゆうさんぎょうはいきぶつ)は、建物などの解体・改修で生じた産業廃棄物のうち、石綿をその重量の0.1%を超えて含むものを指します。イメージとしては、石綿を含んだ成形板・スレート・ケイカル板などが割れて出たがれき類・ガラスくず・陶磁器くずなどです。固まっていて、そのままでは石綿が飛びにくいものが中心です。これは区分としては通常の産業廃棄物ですが、あとで見るとおり扱いには決まりがあります。

廃石綿等(はいせきめんとう)は、石綿が飛散するおそれが高いものです。代表例は次のようなものです。

こちらは特別管理産業廃棄物にあたり、通常の産廃より厳しいルールで扱います。

見た目だけで「飛散するかどうか」を判断するのは難しいものです。そこで手がかりになるのが、解体・改修工事の事前調査結果です。いまは一定規模以上の工事で、有資格者による石綿の事前調査と、その結果の報告が求められています。運搬を引き受ける側としては、その調査結果や排出事業者からの情報で「石綿含有産業廃棄物なのか、廃石綿等なのか」を確認してから運ぶのが確実です。

区分がはっきりせず判断に迷うときは、いったん厳しい側の廃石綿等(特管)として隔離し、混ぜずに仮置きしておくと安全側に倒せます。特管の見分け全般は特別管理産業廃棄物の見分け方と取扱いの注意点もあわせて見てみてください。

2. 石綿含有産業廃棄物を運ぶときに気をつけること

石綿含有産業廃棄物は通常の産廃扱いですが、「石綿を含む」という前提で、次の点を守ります。

マニフェストでは、種類を「がれき類」などとしたうえで、石綿含有産業廃棄物である旨が分かるように記載します(多くの様式に専用の記載欄・チェック欄があります)。ここを空欄にすると、受入側で扱いが変わってしまうことがあるので、忘れずに入れておきたいところです。

3. 廃石綿等(特管)を運ぶときに気をつけること

廃石綿等は飛散のおそれが高いぶん、扱いが一段厳しくなります。ここは現場だけで判断せず、社内の委託担当とも連携しながら進めるのが安心です。

そして最も見落としやすいのが許可です。廃石綿等は特別管理産業廃棄物なので、収集運搬するには特別管理産業廃棄物の収集運搬業の許可(品目に廃石綿等を含むもの)が必要です。処分を委託する相手も、廃石綿等の処分の許可を持っている必要があります。「石綿含有産業廃棄物なら運べるが、廃石綿等は許可品目に入っていなかった」というのは起こりやすい取り違えなので、区分が分かった時点で自社と委託先の許可品目を照らし合わせます。

4. 許可品目とマニフェストの記載を合わせる

区分と運び方が決まったら、最後に許可品目・契約書・マニフェストの3つがそろっているかを確認します。ここは契約や委託にまたがるので、現場担当者一人で抱えず、社内の委託担当に引き継いで確認してもらえれば十分です。

契約書の確認の考え方は委託契約書を確認するときに見ておきたいところ、まず何の廃棄物かを整理したいときは産業廃棄物20種類の分類を現場で迷わない早見表も土台になります。

なお、細かい基準や様式の運用は、廃棄物の状態や自治体・許可権者によって差があります。判断が難しいときは、排出元の事前調査結果と、自治体の窓口や許可権者の案内で確認するのが確実です。

現場で使えるチェックリスト

全部を一人で抱えなくて大丈夫です。まずは現場で「どちらの区分か」を見分け、飛散させずに分けて確保するところまでを最低ラインに置きましょう。許可・契約・マニフェストにまたがる後半は、社内の委託担当に引き継いで確認してもらえれば十分です。

まずここまで(現場で自分の目と事前調査結果から)

ここからは社内の委託担当に引き継いで確認

最後に

石綿含有廃棄物を区分して表示まで整え、収集運搬車両の前で肩の力が抜けて穏やかな表情を見せる運搬担当者
区分して、飛散させずに運べている。それができていれば十分です

石綿を含む廃棄物は、名前だけ見ると身構えてしまいますが、現場で見るのは「石綿含有産業廃棄物か、廃石綿等か」という2つの区分です。 今日この2つの見分けと、「破砕しない・飛散させない・混ぜない・表示する」が頭に入れば、それで十分前に進んでいます。

一度で完璧に判断できなくて大丈夫です。迷ったら厳しい側に分けて、確認の入口をひとつ手元に置けたなら、それはもう現場の安全と、あなた自身の身を守る大きな一歩です。

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