解体工事の現場事務所で、届出の書類とマニフェストの控えを机に並べて見比べている現場担当者

建設リサイクル法と産廃処理の役割分担|届出とマニフェストの違い

解体工事の話が動き出したとき、机の上に書類が一気に増えますよね。分別解体の計画書、届出の様式、委託契約書、そしてマニフェスト。「これ、どれとどれが同じ手続きなんだっけ」と、一度手が止まったことはありませんか。

建設リサイクル法と廃棄物処理法は、同じ解体現場のことを扱っているのに、求めていることが違います。だから、片方の書類をそろえても、もう片方が残ります。ここが混ざると「届出を出したからマニフェストはいらないはず」「小さい工事だから何もいらない」といった思い込みが生まれやすくなります。

この記事では、2つの法律が何をお願いしているのかを分けて、誰が・いつ・何をするのかを一緒に整理していきます。

結論:建設リサイクル法は「分けて壊して、資源として再生してください」という法律です。廃棄物処理法は「出た廃棄物を、誰の責任で、どう運び、どう処理し、どう記録するか」という法律です。だから、建設リサイクル法の届出を出しても、産廃の委託契約とマニフェストは別に必要です。逆に、規模が小さくて建設リサイクル法の届出が要らない工事でも、廃棄物が出るなら委託契約とマニフェストはやっぱり必要です。

迷ったときは、この3つの順で確認すると整理しやすくなります。

  1. この工事は建設リサイクル法の規模基準に当たるか(当たれば届出などが動く)
  2. 誰が何をするか(届出は発注者、説明と報告は元請、というように担当が違う)
  3. それとは別に、産廃としての委託契約・マニフェストがそろっているか

2つの法律は、見ているところが違う

届出・分別解体・マニフェストという3つの手続きを横並びに示した図
建設リサイクル法の「届出」「分別解体」と、廃棄物処理法の「マニフェスト」。同じ現場で並行して動く別々の手続き

まず、それぞれの法律が何をお願いしているのかを分けて置いておきます。

建設リサイクル法(正式には「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」)は、一定規模以上の工事について、分別解体等再資源化等を求めています。「まとめて壊してまとめて捨てる」のではなく、資材ごとに分けて壊し、資源として再び使える形にしてください、という法律です。

対象になるのは特定建設資材と呼ばれる4つで、次のとおりです。

廃棄物処理法のほうは、そこから出た廃棄物を「誰の責任で処理するか」を決めている法律です。排出事業者は誰か、委託契約はどう結ぶか、マニフェストで流れをどう記録するか、運搬や処分に許可はあるか——現場でおなじみの部分は、ほぼこちらです。

つまり、建設リサイクル法は壊し方と再生、廃棄物処理法はその後の運び方と記録。同じ廃材を見ていても、聞かれていることが違うわけです。

どのくらいの工事から、建設リサイクル法が動くか

建設リサイクル法の届出などが必要になるのは、対象建設工事に当たるときです。規模の目安は、工事の種類ごとに決まっています。

工事の種類規模の基準
建築物の解体床面積の合計 80㎡以上
建築物の新築・増築床面積の合計 500㎡以上
建築物の修繕・模様替(リフォームなど)請負代金の額 1億円以上
建築物以外の工作物の工事(土木工事など)請負代金の額 500万円以上

請負代金の額は消費税を含んだ金額で見ます。

ここで押さえておきたいのは、この基準は「建設リサイクル法の手続きが動くかどうか」の線引きであって、産廃の手続きの線引きではないということです。60㎡の木造住宅を解体する工事は、建設リサイクル法の届出の対象にはなりません。でも、そこから出るがれき類も木くずも産業廃棄物ですから、委託契約もマニフェストも通常どおり必要です。

「規模が小さいから、書類は何もいらない」——ここは現場でいちばん混ざりやすいところなので、分けて覚えておくと安心です。

誰が、何をするのか

役割が人によって違うのも、混ざりやすい理由のひとつです。順番に置いていきます。

発注者:都道府県知事等への届出

対象建設工事の届出は、発注者が行います。工事に着手する7日前までに、分別解体等の計画などを都道府県知事等(政令市などでは市長)へ届け出ます。自分で施工する場合(自主施工)は、その施工者が届け出ます。

元請業者が代理で書類を作ることは実務上よくありますが、届出の名義は発注者です。ここは「うちが出すものではない」と思い込んでいると抜けやすいので、誰が書いて誰が出すかを早めに決めておきましょう。

元請業者:事前の説明と、完了後の報告

元請業者は、契約前に発注者へ、分別解体等の計画について書面で説明します。そして工事のあと、再資源化等が終わったら、その旨を発注者へ書面で報告し、記録を作成して保存します。

さらに、下請に工事をお願いするときは、届け出た計画の内容を下請業者に告知します。現場で実際に手を動かすのは下請なので、この告知がないと計画どおりに分けられません。

元請業者:産廃としての排出事業者でもある

そしてもうひとつ、大事な役割があります。建設工事から出る産業廃棄物の排出事業者は、原則として元請業者です。つまり、委託契約を結ぶのも、マニフェストを交付する(または電子マニフェストで登録する)のも、原則は元請ということになります。

ここが、建設リサイクル法の「元請の役割」と重なって見えるところですが、根拠にしている法律が違います。詳しくは建設現場の産廃マニフェスト、交付するのは元請?下請?で整理していますので、あわせて見てみてください。

収集運搬業者・処分業者:許可の品目と受入先の確認

運ぶ側・処理する側としては、許可の品目に合っているかが第一です。解体現場から出るものは、がれき類・木くず・金属くず・廃プラスチック類などが混ざりがちなので、「うちの許可でこの品目を運べるか」を積む前に確認しておきたいところです。

分別されずに混ざったまま出てくると、混合廃棄物として扱うことになり、処理費も上がり、再資源化もしにくくなります。この点は混合廃棄物を減らす現場分別のコツと容器の決め方が参考になります。

分けて壊したものは、産廃ではどう扱うか

分別解体で分けたものは、そのまま産業廃棄物の種類につながっていきます。現場でよくある対応は、だいたい次のとおりです。

なお、木材については、工事現場から一定の距離の範囲内に再資源化のための施設がないなどの事情があるときに、縮減(焼却など)による処理が認められる場合があります。地域によって事情が違うところなので、受入先を決める前に確認しておくと安心です。

そして、分別解体で分けたものを再資源化施設へ運ぶときも、廃棄物である以上、委託契約とマニフェストは必要です。「リサイクルに回すから産廃じゃない」ということにはなりません。ここも混ざりやすいので、頭の片隅に置いておいてください。

あわせて動きやすい、別の手続き

解体工事では、建設リサイクル法と廃棄物処理法のほかにも、並行して動く手続きがあります。全部を覚える必要はありませんが、「別にある」とだけ知っておくと、当日に慌てずに済みます。

明日やること

明日できる一歩は、いま動いている解体・改修の案件を1件だけ開くところからで十分です。

その工事について、「建設リサイクル法の対象か」と「産廃の書類はそろっているか」を、別々の欄に分けてメモしてみてください。 案件一覧に列を2つ足すだけでも構いません。

この2つを分けて書けた時点で、混ざりようがなくなります。今日はそれだけで十分です。

現場で使えるチェックリスト

最後に

分別された廃材が整然と並ぶ解体現場で、書類の確認を終えた担当者が穏やかに一息ついている情景

解体の現場は、関わる人も、動く法律も多い場所です。書類が混ざって見えるのは、あなたの整理が足りないからではなく、もともと別々の仕組みが同じ現場で同時に走っているからです。

「建設リサイクル法は壊し方と再生、廃棄物処理法は運び方と記録」——この一本の軸さえ持っていれば、書類を前にしたときに「これはどっちの話か」と立ち返ることができます。そして、どちらか一方で足りることはない、と分かっていれば、抜けもぐっと減ります。

一度に全部を覚えなくて大丈夫です。今日、届出とマニフェストが別ものだと分けて見られたなら、それだけで次の案件の進め方が変わります。分けて壊す仕事は、そのまま資源を次へつなぐ仕事でもあります。ひとつずつ確かめながら、落ち着いて進めていきましょう。

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